ヨルシカの
「斜陽」
についてブログを書こうと思ったとき、
主題歌になっている
「僕の心のヤバいやつ」
を、実はまだ観ていませんでした。
主題歌になっているアニメを観ずに記事を書くのは
違うなと思ったので、観てから書こうと思いました。
なので最初は、
「少しだけ」アニメを観るつもりだったんです。
参考程度でいい。
雰囲気が分かれば十分だろう。
そう思って、軽い気持ちで再生しました。
――結果から言うと、
思った以上にハマってしまい、漫画もアニメも、全部観てしまいました。
想像以上に、めちゃくちゃ純愛だった
観た当初の率直な感想は、これでした。
めっちゃ純愛!!
観ている途中でも、
「いやもう確実に両思いやん……」
「早よ付き合え!!」
と、ずっと思いながら観ていました。
タイトルからはギャグ寄りのラブコメを想像していましたが、
実際はとても丁寧で、不器用で、
中学生という年齢だからこそ描ける
純度の高い恋愛がそこにありました。
純愛ラブコメの主題歌が「斜陽」?という違和感
そんな作品の主題歌が「斜陽」だと考えた時に、
正直、少し違和感がありました。
斜陽という言葉には、
- 衰退
- 没落
- 終わりに向かうもの
といった、どちらかといえばネガティブな印象があります。
実際、産業が衰退に転じることを
「斜陽化」と呼ぶこともあります。
こんなにも眩しい純愛ラブコメに、
なぜ「斜陽」なんだろう。
最初は、正直ピンと来ませんでした。
でも、歌詞を読むと印象が変わった
ところが、
『僕の心のヤバいやつ』を最後まで観たあと、
改めて「斜陽」の歌詞を読むと、
その印象が大きく変わりました。
「目も開かぬまま」は、切なさではなく眩しさ
頬色に茜さす日は柔らかに
爆ぜた斜陽に僕らは目も開かぬまま
この一節は、
悲しいから目を逸らしているのではなく、
眩しすぎて、直視できない状態を描いているように思えます。
好きな相手を前にすると、
視線を合わせるだけで精一杯になる。
その感覚が、そのまま言葉になっている。
触れたら、少しだけ傷つく恋
悲しくってしようがないんだ
お日様で手が濡れた
とろとろと燃えるみたいに
指先ばかり焦げた
太陽は温かい存在です。
でも、近づきすぎれば火傷をする。
恋も同じで、
好きになればなるほど、
自分の弱さや怖さが露わになります。
甘いだけじゃない恋の感覚が、
とても身体的に描かれていると感じました。
届かない存在への憧れ
高く成った葡萄みたいだ
届かないからやめて
相手が、自分よりずっと輝いて見える。
だからこそ、手を伸ばすのが怖くなる。
中学生の恋愛だからこそ生まれる、
理想化と臆病さが
この一行に詰まっているように思えました。
自分を愛する一歩手前
もう少しで
僕は僕を一つは愛せたのに
この歌詞は、
恋の歌であると同時に、
自己肯定の歌詞だと思います。
誰かを好きになることで、
自分にも価値があるかもしれないと思える。
でも、その一歩手前で立ち止まってしまう。
この「少し手前」を描いているところが、
とても印象的でした。
斜陽は「終わり」ではなく「途中」の光
爆ぜた斜陽も
僕らの道をただ照らすのなら
斜陽は沈んでいく光です。
でも同時に、
最後まで道を照らそうとする光でもあります。
未完成で、
不器用で、
それでも確かに前へ進んでいる。
この歌が、
『僕の心のヤバいやつ』という物語に
寄り添っている理由が、
ようやく分かった気がしました。
最後に ― n-bunaさんが凄いと思った理由、そしてsuisさんの歌声
ここまで「斜陽」の歌詞を追ってきて、
最後にやっぱり思うのは、
n-buna さんは本当に凄い、ということです。
感情を「好き」「切ない」と言葉で説明しない。
代わりに、
- 目を開けられない
- 手が濡れる
- 指先が焦げる
といった、感覚だけで感情を伝えてくる。
しかも、「斜陽」という
本来は衰退や終わりを連想させる言葉を使って、
純愛の眩しさを描いてしまう。
結論ではなく、
感情が揺れている“途中”だけを切り取る。
この精度でそれをやってのけるのは、
本当にとんでもない表現力だと思います。
そして、その言葉を
決定的なものにしているのが、
suis さんの歌声**だと感じました。
suisさんの声は、
感情を強く押し出しすぎません。
泣かせようとも、盛り上げようともしてこない。
でも、
言葉の輪郭だけを丁寧になぞるように、
そっと感情を置いていく。
だからこそ、
爆ぜた斜陽に
僕らは目も開かぬまま
という歌詞が、
切なさではなく、
眩しすぎて目を閉じてしまう瞬間として
まっすぐ胸に届く。
n-bunaさんの
言葉にならない感情をすくい上げる歌詞と、
suisさんの
感情を押しつけない、透明な歌声。
この二つが重なったとき、
「斜陽」はただの主題歌ではなく、
物語の温度そのものになるのだと思います。
改めて、
とても誠実で、静かで、
でも圧倒的に強い一曲だと感じました。
本当にとんでもない表現力だと思います。
追記:映画への期待
2月には映画も公開されるそうですね。
スクリーンの大きな音と映像の中で、
あの眩しさがどう描かれるのか。
今から、とても楽しみです。
今さら気づいたのですが、
2月公開の映画の主題歌も
ヨルシカ で、
曲名は 茜 みたいですね。
そう考えると、
「斜陽」の歌詞の中にも出てくる 茜 という言葉。
ちゃんと次につながっている感じがして、
素直に楽しみだなと思いました。
……ということは、
映画では 斜陽 は流れない、ということですよね。
それは正直、ちょっと残念です。
挿入歌でもいいから、
どこかでそっと流れたりしないかな……
なんて思ってしまいます。
でも、
斜陽の歌詞の中にあった「茜」が、
今度は主題歌として前に出てくる。
そう考えると、
この物語と音楽が、
ちゃんと時間を進めている感じがして、
やっぱり映画が楽しみになりました。
おわりに
「僕の心のヤバいやつ」を観る前の僕にとって、
「斜陽」は切ない歌でした。
でも今は、
好きという感情が強すぎて、
目を開けていられなくなる瞬間の歌に聴こえます。
中学生の恋愛だからこそ描けた、
未完成で、純度の高い感情。
そして、それをここまで正確に表現した
n-bunaさんの作詞作曲とsuisさんの歌声の凄さを、
改めて実感しました。

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