僕は、もともと数学が好きでした。
答えがひとつに決まる安心感や、式がきれいにまとまる瞬間がとても心地よかったです。
でも、それは“教科としての好き”だったと思います。
テストのため、成績のため。
どこか枠の中で楽しんでいた気がします。
そんな僕の“数学好き”を、もっと深く、
そして少し自由にしてくれたのが──
📗『浜村渚の計算ノート』シリーズとの出会いでした。
🎒 運命的な出会い
このシリーズに出会ったのは、高校一年の頃でした。
放課後や休み時間、みんなが遊んでいる横で、僕は本を開いていました。
(さすがに授業中は読んでいません😓)
「数学が禁止された世界」という突飛な設定にまず惹かれました。
けれど読み進めるうちに、
数字や公式が“人の心”と結びついていく物語にどんどん引き込まれていったのです。
正直、もっと早く知りたかったと思いました。
中学生の頃にこのシリーズに出会っていたら、
きっと数学の見え方が少し違っていた気がします。
そして気づけば、いつのまにか渚ちゃんの似顔絵を
ノートに模写していたくらい、この小説が大好きになっていました。✏️📖
今思うと、ちょっと自分でも引きますね💦
まぁそのくらい好きだった小説なんです!
💡 数学が“生きている”物語
『浜村渚の計算ノート』シリーズの魅力は、
なんといっても数学が物語の中で息づいていることです。
主人公の渚ちゃんは、数学を愛する女子中学生。
“数学が消えた世界”で、テロ組織「黒い三角定規」と戦います。
フィボナッチ数列、四色問題、円周率、虚数、ラマヌジャン……。
学校の授業で聞いたことのある言葉たちが、
この物語の中では“人を救うための鍵”として輝いています。
「数学=問題を解くこと」ではなく、
「数学=世界を理解する言葉」として描かれていることに、
僕は強い衝撃を受けました。
渚ちゃんの口から語られるひとつひとつの数式が、
まるで詩のように感じられたのを今でも覚えています。
✏️ 数式が“趣味”になる瞬間
このシリーズを読んでから、僕の中で数学の位置づけが変わりました。
ノートに式を書くことよりも、
数式そのものの形や流れに“美しさ”を感じるようになったのです。
放課後の教室で、黒板に残った方程式をなんとなく眺める。
その配置やバランスに、不思議な美を見出しました。
「解く」よりも「眺める」ほうが楽しい。
そんな風に思えたのは、この作品に出会ってからだと思います。
テストや点数とは関係なく、
“考えることそのものが楽しい”と感じられるようになりました。
気づけば、数学は僕の“趣味”になっていたのです。
🧠 渚ちゃんが教えてくれたこと
渚ちゃんのすごいところは、どんな難題に直面しても、
「わからない」ことを恐れないところです。
むしろ、わからないことを楽しんでいるように見えます。
彼女の姿勢は、僕にとって“学ぶことの原点”を思い出させてくれました。
問題に向き合う時間。
思考の迷路をさまよう瞬間。
答えを見つけたときの静かな達成感。
それらすべてが、僕の中で“生きている感覚”とつながっていました。
数学はいつの間にか、「好きな教科」ではなく、「自分を映す鏡」になっていたのです。
🔢 暇つぶしで覚えた円周率100桁
このシリーズを読んでいた高校時代、
僕はふとした思いつきで円周率を100桁覚えることに挑戦しました。
特に意味はありませんでした。
ただ、数字の並びがあまりに綺麗で、見ているだけで楽しかったのです。
結局、100桁までは覚えましたが、
今では40桁くらいしか思い出せません😅
でも、あのときの“数字と遊んでいた時間”を思い出すと、
少し笑ってしまいます。
あれはきっと、“暇つぶし”ではなかったのだと思います。
僕にとっては、数学と過ごす穏やかな青春のひとときでした。
🌸 好きでいることの意味
『浜村渚の計算ノート』は、数学が苦手な人にもおすすめできるシリーズです。
むしろ苦手な人にこそ読んで欲しいです!
でもそれ以上に、数学をもともと好きだった人を、もっと好きにさせてくれる物語だと思います。
数字は冷たくありません。
その中には、人の思考や情熱がちゃんと息づいています。
それを教えてくれたのが、渚ちゃんでした。
もし今、数学が嫌いだという小中学生がいたら、
僕は迷わずこのシリーズを手渡すと思います。
「きっと、君の中の“数学の見え方”が変わるよ」と言って。
もちろん、高校生でも大人でも楽しめるシリーズです。
難しい理論を並べるのではなく、
“数学の面白さ”と“人間ドラマ”の両方を味わえるからこそ、
読むたびに新しい発見があります。
漫画版はすでに完結していますが、📚
小説は今もなお続いています。
気になる方はぜひ本を手に取って、
渚ちゃんと一緒に数学の世界へ旅してみてください。
🧩 数学って、やっぱり美しいですね。
✍️ 作者紹介:青柳碧人先生
『浜村渚の計算ノート』シリーズの作者・青柳碧人先生は、千葉県出身の小説家です。
早稲田大学教育学部を卒業後、2009年に本シリーズでデビューされました。
数学という一見難しそうな題材を、物語とミステリーに融合させ、
「数字を嫌いな人にも好きになってもらえる小説」として話題を集めました。
その後、『怪盗探偵山猫』や『むかしむかしあるところに、死体がありました。』など、
エンタメ性と知性を併せ持った作品を多数執筆されています。
ジャンルを超えて“知ることの楽しさ”を描き続けている作家です。
『浜村渚の計算ノート』シリーズは、
そんな青柳先生の「学ぶことを楽しむ」という精神が最も色濃く表れた作品です。
年齢に関係なく、読めばきっと、数学だけでなく“考えることそのもの”を好きになれると思います。

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